〇1番(岡村恵子) ただいまから一般質問を行わせていただきます。
一つ目に、障害者自立支援法への対応についてお聞きいたします。障害者福祉を大きく変える法律である障害者自立支援法が2005年10月31日に成立いたしました。政府は、障害者の地域生活と就労を勧め、自立を支援すると言って、この法律の提案をいたしましたが、内容は障害者と家族に大きな負担増をし、障害が重く制度利用の多い人ほど負担が大きくなるという応益負担の導入に強い反対の声が起きていました。法案提案から半年の間に全国各地で10万人を超える人たちの行動が起こり、一度は廃案に追い込みましたが、特別国会に再提出し、政府は強行成立を図りました。2006年4月から順次施行されていくことになります。私の知っている関係者は、負担がかなりふえるので、週2回のデイサービスを1回にしなければならない人が出てくる、また新聞報道では負担の重さに各地で通所を断念するケースが相次いでいるなど、切実な声や怒りの声が今広がっています。利用者のみではなく、事業者への影響と働く人たちへの待遇が後退せざるを得ない状況も出ています。
障害者自立支援法全体の概要は、その特徴として、
1、利用者負担を応能負担から応益定率負担にする。
2、障害種別の利用枠の制限緩和、これは知的障害、身体障害、精神障害の三つの障害の一元化。
3、通所施設などの設置主体の規制緩和。
4、施設の提供主体を市町村単位にする。
5、利用できる事業、給付金額、利用料を決める障害程度区分6段階の導入。
6、障害者福祉事業の再編。
7、利用計画を作成する相談支援事業制度、ケアマネジメント導入などです。
この自立支援給付には、介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具、地域生活支援事業等がありますが、実施主体は市町村となります。自立支援法の最も大きなねらいとして、国庫財政を支え合うといううたい文句のもと、国庫負担を削減することにあり、そのため障害者と家族に新たな負担と混乱をもたらすものになっています。利用者負担の重さから、必要な支援施策が受けられない事態を防ぐため、不十分ながら設定されている減免などの制度活用と、そして各自治体独自の支援施策を実施していくことが大切になっています。既に独自の軽減策を打ち出す自治体もあります。
横浜市と東京都荒川区の軽減策について紹介いたしますと、横浜市は障害者自立支援法負担額助成事業として、新たに負担が生じる低所得者のサービスを支援するため、独自に利用者負担額の全額助成を行うとしました。3年間をめどに実施し、対象者は市民税非課税世帯に該当する利用者を2区分に分け、低所得1が市民税均等割非課税世帯で、本人の収入が80万円以下の者に上限額の1万5,000円まで、低所得2が市民税均等割非課税世帯で、低所得1以外の者、上限額の2万4,600円までとしています。
東京荒川区の軽減策は、在宅サービスの利用者に対する激変緩和策として平成18年度から20年度まで、利用者負担を10%から3%にする。さらに、通所施設利用者に対する激変緩和策として平成18年度から20年度まで食費を50%に軽減する。全身性障害者等として、在宅でサービス利用が多い者に対する継続的な緩和策として、月額負担上限額を50%に軽減、平成18年度から対応としています。他の市町村も今この軽減策に動き出しています。
ここで、本市の取り組みについて幾つかお聞きいたします。まず、一つ目には、来年の4月から施行される障害者自立支援法に基づく施策の実施に当たり、これまで利用してきたサービスの低下を招くことのないよう制度の概要の手続の実務などについて、市が責任を持って対象者への説明を行うなど、制度の周知徹底に責任を持つことが必要になっていますが、市当局の取り組みの状況についてお聞きいたします。
二つ目に、サービスの手続として、大きく変わる障害程度区分に関してですが、被害と区分1から6の7段階を認定する審査を受けるということになります。今議会の議案の中にも、本市の障害程度区分審査会の提案がなされております。これは、市が責任を持ち行うことになりますが、この障害者区分認定や支給決定に当たっては、障害者の支援ニーズに合わせた適正な判断が行われるよう配慮しなければなりません。大変複雑な作業になってくると思われますので、審査会の中に専門分野の方が入ってくるのが重要だと思います。そして、当事者の意見などが反映されるよう委員の構成等を配慮するとともに、必要に応じて直接意見表明の機会が持てるようにすることが大切だと思いますが、見解を求めます。
三つ目に、先ほど強調しました利用者の負担制度に関してお聞きいたします。平成18年4月から限度額こそありますが、負担が原則1割になります。支援費制度では応能負担であったために、費用を払っていたのはホームヘルプサービスの場合、利用者の5%程度で、残りの95%の人は無料で済んでいました。それが障害者自立支援法では生活保護世帯以外の人はすべて1割負担になり、一挙に大変な負担増になります。政府は、これを利用したサービスの量や所得に応じた公平な負担と説明しています。自己負担上限設定がありますが、世帯収入で判断されますので、課税世帯は上限が3万7,200円となっています。そして、非課税世帯である低所得者1、低所得者2の方は、例えば障害年金2級の方の場合月額6万6,000円のうち、1万5,000円までか2万4,600円までを払わなければなりません。これらは、配慮などと言えるものではありません。その他、障害者運動や国会審議を通じてさまざまな軽減策が拡大をされてきておりますが、サービス抑制や後退につながらないよう市独自の軽減策を講じる必要がどうしてもあると考えますが、見解を求めます。
四つ目に、公的負担医療のうち、育成医療と更生医療、精神通院医療の三つが自立支援医療へ移行することに関してお聞きいたします。育成医療の場合には、2009年3月31日までの経過措置として、市民税課税世帯、所得割20万円未満に対して負担上限額が設けられています。私も以前この障害者自立支援法の問題を一般質問で取り上げたときに、心臓病の子供たちの費用負担のことで述べたことがありました。この負担上限額の設定は、法案策定時から全国心臓病の子供を守る会が心臓手術における医療費の自己負担が自立支援医療で大幅な負担増になることを具体的に試算し、運動し続けたことが厚生労働省や国会を動かしたものです。所得ごとに2段階で上限が月1万円、そして上限が4万200円となっています。しかし、この上限額をもってしても大変な負担になります。今までこの育成医療は、栃木県は県が全額自己負担分を助成していました。また、精神通院医療は今まで5%負担に軽減されていました。そして、人工透析患者などの更生医療について、今まで所得段階ごとの自己負担は栃木県内では市や町が助成しており、旧佐野市と小川町以外は全額助成されていました。ですから、旧田沼、旧葛生の人たちは、今まで全額助成されておりましたが、2分の1市負担となり、自己負担が出てきたわけです。今後限度額があるにしましても、定率1割負担導入で必要な治療が継続できない人も出てくるのではないでしょうか。今後制度改定で生じる負担分を助成する市独自の制度創設充実が求められてくると思いますが、見解を求めます。
そして、育成医療と精神通院医療につきましても、助成制度の充実、創設を県の施策ということですので、県に求めるとともに、市としてもそれを補完する何らかの措置が求められてくるのではないかと思いますが、現状と、そして今後どうなっていくのか、そしてこの軽減策について見解を求めます。
次に、自立支援医療の重度かつ継続の範囲につきましてお尋ねいたします。自立支援医療の自己負担分が重度かつ継続の枠内に入れば、限度額が別枠になってくるものです。これは、重度または継続して治療を受けなければならない場合の方たちの負担に配慮されたものになっています。精神通院医療では、躁うつ病の方や難治性てんかん、統合失調症の3障害など、また更生、育成医療では腎臓機能障害などでした。この対象範囲の疾患が限定されたものになって、国会の論議で一定範囲が広がりましたが、育成、更生医療につきましては、今なお国の担当者は施行後実証データの結論を踏まえてできるだけ早い時期に結論を出すと言っていますが、市独自の上乗せ、拡大が求められていると思いますが、見解を求めます。
六つ目に、減免申請の件です。市民税非課税世帯の人が負担上限区分で低所得1、低所得2の軽減措置の認定を受けるためには、減免申請が必要になってきます。申請によってどの区分に該当になるか市が認定するわけですが、申請をしなければ一般ということで適用されてしまいます。申請がおくれれば次の月からということになります。必要な人が必ず申請できるよう市としても徹底させる必要があると思いますが、見解を求めます。
次に、地域生活支援事業に関してお聞きいたします。この地域生活支援事業は、
1、地域の特性や利用者の状況に応じて柔軟に実施することによって効率的、効果的な事業実施が可能な事業。2、地方分権の観点から地方が自主的に取り組む事業。
3、生活ニーズに応じて個別給付と組み合わせて利用することも想定される事業。
4、障害者保健福祉サービスに関する普及、啓発等の事業などについて、市に実施の権限が大幅に移譲されてくるとしています。
しかし、今回の法律では財源の安定化をうたい、個別給付関係の予算が義務的経費化されたにもかかわらず、裁量的経費のまま残されることになりました。この事業の中には、相談支援や移動支援であるガイドヘルパー、コミュニケーション支援である手話通訳派遣制度等が入ってきますので、これらの実施に当たっての本市の実施内容の詳細を明らかにすることが必要です。そして、今行われているサービスが後退しないよう、また利用者の負担増につながらないよう、十分な予算措置を講じることが求められていると思いますが、見解を求めます。
次に、市障害者福祉計画に関してお聞きいたします。この計画には、サービスの必要量の推計とともに、その整備についても具体的な方向性を盛り込むことが求められています。この計画をつくるに当たっては、このニーズの把握をきちんとすること、そして十分な整備目標を持つことが求められますが、見解を求めます。
そして、地域生活支援事業にかかわる条例化が求められてくると思います。内容は、事業枠の設定、各事業の運営基準と補助単価の設定、利用料の設定などですが、これら条例化をどのように進めようとしているのか、見解を求めます。
次に、制度枠に入っていない母子通園ホームや障害児学童保育など子育て支援の問題など、本市としてどのような位置づけをしようとしているのかが気になるところです。ぜひ明確な位置づけをして取り組む必要があると感じています。見解を求めます。
次に、障害者自立支援関連の最後の質問になりますが、在宅支援センターであるみどり支援センターについてです。この在宅支援センターは、全国的に国庫補助が支援費導入とともに打ち切られ、広域化の動きもありましたが、市も事業者の実績を認められ、小中町の事業者内に残すことができました。平成17年度までは県と市が折半で補助を出しておりましたが、来年度からは県も補助を打ち切るという事態になってきています。関係者から不安の声が寄せられておりました。このみどり支援センターは、市当局もご存じのとおり相談受け付け件数もかなり増加してきて、その役割もますます重要になってきていると思います。そして、2名の職員はフル回転で動いています。障害者自立支援法導入とともに、相談事業などの役割はますます大きくなってくると思います。市としても補助を増額して職員増と処遇低下が起きないよう支援を強める必要があると考えますが、見解を求めます。
二つ目に、介護保険制度の改正についてお聞きいたします。介護保険制度は、2005年6月に成立した介護保険法の改正により大きく変わってきます。厚生労働省によれば、今回の介護保険法改正の趣旨は、高齢化の一層の進展等社会経済情勢の変化に対応した持続可能な介護保険制度を構築するとともに、高齢者が尊厳を保持し、その能力に応じ自立した日常生活を営むことができる社会に資するため、予防給付の給付内容の見直し、食費及び居住費にかかわる保険給付の見直し等、保険給付の効率化及び重点化、地域密着型サービスの創設等、新たなサービス類型の創設、事業者及び施設の指定等にかかわる更新制度導入、サービスの質の確保及び向上、障害年金及び遺族年金を特別徴収の対象とするなど、負担のあり方及び制度運営の見直し等の措置を講ずるとしています。
その主な内容は、
1、予防重視型システムへの転換。
2、施設給付の見直し。
3、新たなサービス体系の確立。
4、サービスの質の確保、向上。
5、負担のあり方、制度運営の見直しと整理されます。
市民にとって重大な改正の内容は、要支援と要介護1の軽度認定者を新たな給付体系に移行させるもので、要介護認定の2次判定の過程で、従来の要介護状態区分の審査に加えて高齢者の状態維持、改善の可能性の観点を踏まえ、明確な基準に基づく審査を行い、市が介護予防が必要か否かを決定するとされています。基本的に介護予防サービスは、介護サービスとほぼ同じでありますが、例えば介護予防訪問、入浴介護などでありますけれども、サービスの内容は通所施設で体操やマシンを使った筋力向上トレーニングや栄養士の指導、口腔ケアなどが中心であり、しかもサービス費用の給付に厚生労働省で定める期間が設定されます。この決められた期間が過ぎると給付がなくなり、全額自己負担になってきます。厚労省はこうした介護予防施策によって、将来的に介護保険給付費の約2割の削減を見込んでいるとされています。あるケアマネジャーの方の話によりますと、今回の見直しでいまだ4月開始するための細かい指示が国からされず、事務が進まず困っているといった切実な声も寄せられております。
また、もう一つの問題といたしまして、介護保険の保険料の問題ですが、サービスの市全体の量がふえたり、介護報酬を引き上げたりすると利用者の利用料の引き上げにとどまらず、保険料の引き上げにつながる仕組みになっています。この構造的な問題がある上に、65歳以上の方の介護保険料は定額保険料を基本として逆進性が強いために、低所得者ほど大変な負担を強いられています。新予防給付や施設入所者の負担増を中心とする今回の改革について、給付抑制と、一方で保険料や利用料などの負担増によって介護の不安を助長していくことが確実だと専門家は指摘をしています。私は、市の担当者も大変苦慮していると思いますが、他の制度に比べ市の裁量が認められる部分の多いこの制度を、ぜひ市独自で市民の実態に合った低所得者に配慮する方向にその努力を傾けていただきたいと切に思います。
ここで一つ目にお聞きいたしますが、65歳以上の方の保険料の値上げ案が議員全員協議会で示されました。今まで旧佐野2,887円、旧田沼2,700円、旧葛生2,600円の基準月額が3,925円、約4,000円に値上げされる案になっています。今回の改正で障害者年金や遺族年金からも天引きされるということです。この引き上げ金額は、高齢者にとって負担することに限界に来ているのではないでしょうか。市長会でも既に国に対し、国の負担割合を増加するよう要望してきておりますが、値上げしないで済むよう再度国に働きかけをして値上げを防ぐように、市長にぜひそうすべきだと考えますが、見解を求めます。
二つ目に、この値上げについては行うべきではありません。値上げを避ける必要があるのではないでしょうか。一般会計からの補てんをすること、また基金償還金の返済は原則3年ということになっておりますが、9年まで返済を延ばすことが認められることになっています。ですから、あらゆる方法を使って値上げはやめるべきと考えます。見解を求めたいと思います。
三つ目に、65歳以上の方で税制の改正により、非課税者が課税対象となってきている人が多く出てきております。値上げに加え、保険料の段階が上がってしまうことで、二重にも三重にも痛手の状況です。市の裁量として認められている保険料段階を細分化すること、また基準月額に対する補正率を高所得者には高くすること、さらに低所得者に負担を軽減させることなどが必要と考えます。国の改正で、今まで2段階の人を二つに分けておりますが、これは一定の前進だと思います。しかし、第3段階の人たちなど、市民税非課税の方たちは一挙に料金が上がります。第3段階の人たちに市独自に軽減策を講じることなど、介護保険料の低所得者の市独自の軽減策がどうしても求められていると思いますが、見解を求めます。
四つ目に、介護認定者の障害者控除認定書の周知の問題です。本市は、要介護3から5の方たちを対象に障害者控除認定書を発行しておりますが、今定率減税の廃止やさまざまな控除がなくなってくる中で、ぜひ所得税の障害者控除を積極的に受けるためにも、この要介護者の障害者控除認定書の発行につきまして周知徹底をする必要があると思います。今の実態とこの周知について、見解を求めたいと思います。
五つ目に、今度の改正で要介護1から要支援に移行する人を本市は何人ぐらいと試算しているのでしょうか。また、介護予防の必要性の審査により、そのうちの何%の人たちが介護予防の対象となると試算しているのかお聞きいたします。
六つ目に、地域包括支援センターは高齢者の生活を総合的に支えていくための拠点として発展させていくという位置づけが必要だと思いますが、このことについてお聞きいたします。その役割を果たすために、市としてはどのように位置づけ、設置をしようとしているのか、また市民の声が反映できる民主的な運営がなされていく努力をしようとしているのかお聞きいたします。
七つ目に、地域支援事業について、本市の考え方と実施の内容についてお聞きいたします。この地域支援事業は、主に要介護状態になる前からの一貫性、連続性のある介護予防の取り組みなどです。例えば配食サービスなどが入りますが、今後また相談事業など入ってまいります。今後地域生活支援事業の本市の実施内容についてお聞きいたします。
三つ目に、巡回バスと高齢者の移動手段についてお聞きいたします。この問題は、12月議会でも取り上げてきました。そして、今議会先発の議員の方たちも何人か質問しております。少し角度を変えてお聞きしたいというふうに思います。
私は、いかに車を持たない方の移動手段を市政の政策の中に位置づけるかということが、今とても重要ではないかと思います。本市の車を持っていない方などの移動手段についてのおくれがあるのではないかと思います。平成18年度予算の中には、自家用有償バス運行経路等調査事業費として320万8,000円が計上されております。ぜひ高齢者の閉じこもりや介護予防の観点から、そして中心市街地の活性化などさまざまな観点から、ぜひ市民に認められる、市民が利用しやすい巡回バスの実現に向けてぜひ検討を進めていただきたい、このように考えます。市としても検討委員会に積極的にこの観点を貫くことが必要だと思いますが、ご答弁をよろしくお願いいたします。
二つ目として、市の施策の中に高齢者などの移動手段について充実される提案もされています。ぜひその用途も広げ、充実を図っていくべきと考えます。健康増進手当の形を変えた形で、タクシー券の充実や移動、移送サービスの外出支援サービスなど充実させていただいておりますが、ぜひ買い物など用途を広げていただき、高齢者など便利に使えるようにすべきと考えますが、見解を求めます。
三つ目に、県がセダン特区取得に動き出しておりますが、移動サービスに参入をしてくる予定の事業者やNPOなどの状況がどのようになっているか、そして病院や介護施設以外の用途拡大など、どこまで考えられるのか見解を求めます。
そして、四つ目に先ほども述べましたが、市民が豊かな暮らしを営むという観点で、この移動手段の確保について市政としてどのような位置づけをしているのか、さらに努力を払っていくことを求めますが、見解を求めまして、私の1回目の質問といたします。ご答弁をよろしくお願いいたします。
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