子育て支援策の拡充について
教育委員会制度改正について
国民健康保険について

議会報告・2015年(H24)第1回定例会
3月 4日(水)質問と答弁(全文)

一般質問と答弁
◆19番(岡村恵子) それでは、ただいまから一般質問を行わせていただきます。

 1つ目に、子育て支援策の拡充についてお聞きいたします。まず、子育て支援策の中のこども医療費の無料化年齢引き上げについてであります。我が佐野市では、平成26年度から中学3年生までの医療費が窓口で無料になっております。これが子育て世代への大きな応援策になっています。それがわかる根拠の一つに、若い世代の中で他市との違いなどについて話題になっていると聞きます。県内の中では、日光市や那須町のように窓口無料化の年齢が高校3年生まで引き上げているところがあります。2005年に内閣府が実施した少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査で、経済的支援措置について望ましいものとして医療費の無料化を挙げた女性は45.8%と圧倒的です。本市にとっても若者定住や少子化対策として有効な施策として位置づけ、積極的な取り組みをさらに期待をするところです。

 児童福祉法第2条では、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と規定しており、児童福祉法の対象は18歳未満であります。以前の質疑の中で高校生までとした場合、その本市での影響額は約4,000万円とお聞きいたしました。子育て支援の拡充という必要性から見れば、実現可能な金額ではないでしょうか。県内でも高校3年生まで医療費無料化を実施しているところに見習い、本市においてもぜひ高校3年生まで医療費無料化を実施させるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 2つ目に、学童保育の整備計画と受け入れ態勢に関してお聞きしたいと思います。子ども・子育て支援法がこの4月から施行されるに当たり、学童保育についてもこの間必要な条例制定がなされてきました。学童保育でありますこどもクラブ施設整備方針が策定され、この中で基盤整備の年次計画もつくられました。5年間のうちに環境の整備、そして現在は小学3年生まででありますが、今度は小学6年生まで受け入れる体制を整えていくことが求められます。しかし、この整備計画の中では、6年生までの受け入れ年次計画が明確にされていないように思います。ここでお聞きいたしますが、市はどのような計画で受け入れ態勢を整備しようとしているのか、お聞きしたいというふうに思います。

 さらに、平成27年度について基盤整備に3億4,500万円計上されております。予算の説明書には、7カ所で10こどもクラブとなっておりますが、どのような受け入れ態勢と整備がなされるのでしょうか、具体的にお聞きしたいというふうに思います。

 さらに、整備計画の中には余裕教室の活用、学校敷地内の整備等が述べられておりますが、今後廃校する計画であるところなど小中学校適正規模・適正配置基本計画との整合性がとられていないように思いますが、どう考えているのでしょうか、お聞きしたいというふうに思います。

 さらにお聞きいたしますが、平成27年度から4年生以上の受け入れがなされる学童保育はどこでしょうか、お聞きいたします。聞くところによりますと、この申し込みが先月2月になされたようですが、保護者への周知が十分なされたと言えず、周知から申し込み日数が少ない状況であったとお聞きいたしました。2月4日に通知が学校から渡され、申請書を役所に取りに来て、16日には締め切りだったようです。今後については早目に周知徹底をすること、そして安心して余裕を持って申し込める体制にするべきではないでしょうか。子育てが安心してできる市をつくっていく必要があると思います。

 さらにお聞きしますのは、学童保育の開所時間の延長についてであります。働く保護者の立場に立ち、開所時間を今の6時までではなくて、午後7時までに延長するべきではないでしょうか。朝についても現在8時からではありますが、夏休み等は7時半ぐらいからにしていくことが求められていると考えますが、どうでしょうか。働く保護者から要望がありました。利便性の拡充を図る必要があると思いますので、このことについてもお聞きしたいというふうに思います。

 2点目の質問は、教育委員会制度改正についてであります。安倍政権のもと、地方教育行政法の改正があり、平成27年度4月1日からの施行となります。昨日には教育長が一般職から特別職になるという条例改正について質疑をさせていただきました。しかし、この制度は経過措置があり、今回の改正は現教育長の任期が続く限り、以前の法律どおりであります。教育委員長も継続となりますが、現在の教育長の任期が終了したときに初めて法改正に基づく体制となり、教育委員長は廃止されることになります。今まで続いた教育委員会制度が抜本的に改正される重大な内容だと思います。
 今までの教育委員会制度の特徴は、国や首長からの独立性でした。これは戦争に走った戦前の教育制度の反省から生まれたものであったわけです。今回政府は、教育委員会を廃止させ、教育行政を政治、首長に直結する狙いを持っていましたが、多くの反対に遭い、教育委員会廃止は見送られました。しかし、内容的には教育委員会制度を残した上で首長の関与等を強める法律を成立させたわけです。ですから、今回条例改正で教育長を一般職から特別職に変更するということは、重要な内容がはらんでいると思います。
 昨日の質疑では、その重要性について何ら市当局は触れることをしませんでした。現行の教育長が教育委員会の一人であるのに対し、新教育長は教育委員会の構成員であるが、委員ではないこと、また現行の教育長は任命に議会同意を必要とする教育委員会の委員として特別職の身分を有するとともに、あわせて教育委員会が任命する教育長として一般職の身分を有する者でありましたが、新教育長は地方公共団体の長、いわば佐野市でいえば市長が議会の同意を得て任命する職であるということから特別職の身分だけを有することになる、これは教育委員会制度の大きな改変であります。これが昨日質疑しました条例改正の内容であったわけです。

 ここで1つ目にお聞きいたしますが、本来は教育委員会制度をなくしてしまうという安倍政権のもくろみは、多くの関係者の反対で打ち砕かれました。しかし、地方教育行政法の改正がなされ、その中には多くの問題が潜んでいますが、教育委員会制度が残ったということは、教育委員会が最高意思決定機関である建前に変わりはないということであり、首長の権能はオールマイティーとは言えない内容であると考えますが、このことについてそのご認識をお聞きしたいというふうに思います。

 2つ目にお聞きしますが、今回の法改正によって経過措置があるものの、教育委員長がいなくなり、新教育長に大きな権限が与えられることになりますが、文科省の通知、平成26年7月17日付では、教育委員会の委員による教育長へのチェック機能の強化、会議の透明化を図ることを留意事項として挙げています。通知の指摘事項を踏まえて今後どのように具体化しようとするのか、お聞きしたいというふうに思います。

 3つ目でありますが、先ほどの通知の中で改正後においての教育委員会の合議制の執行機関であるため、その意思決定は教育長及び委員による会議において出席者の多数決において決せられるものであり、委員の役割が引き続き重要であること、改正後においても委員は執行機関の一員であり、教育委員会の重要事項の意思決定を行う責任者であるとしております。これは、教育委員の集まりである教育委員会が教育行政の最高意思決定機関であることの確認であると言えますが、そのご認識をお聞きしたいというふうに思います。

 4つ目に、改正法は新たに大綱の策定を市長に義務づけたことについてであります。市長に決定権を与え、権限のないことまで何でも大綱に盛り込めるよう改変されるということになりました。しかし、国会での論議の中での答弁では、教育問題について市長が勝手に書き込むことは正しくないとされました。教育の根本的方針は、本来教育委員会と市長が対等平等の関係で協働し、市民参加のもとで民主的に策定すべきであるからであります。文科省の通知でも留意事項が指摘されています。本市において大綱の作成に当たって、その基本的な考えについてお聞きしたいというふうに思います。

 5つ目に、市長が招集する総合教育会議が新設されることに関してであります。この会議は、市長と教育委員会との協議調整の場ということでありますが、通知の中では総合政策会議を設置することにより、教育に関する予算の編成、執行や条例提案など、重要な権限を有している地方公共団体の長と教育委員会が十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有してより一層民意を反映した教育行政の推進を図ることとしていると述べております。協議調整の内容はどんなものを想定しているのかも含め、総合教育会議のあり方についてお聞きしたいというふうに思います。

 6つ目になりますが、子どもの権利条約についてであります。日本も批准をしておりますが、子供のために営まれる教育や教育行政でこそ、この子ども権利条約しっかりとこの中に生かすべきではないかと思いますが、どうでしょうか。日本は過度な競争や管理で子供の権利が侵害されていることが勧告、国連子どもの権利委員会の日本政府への勧告等この勧告がなされております。また、この間教育基本法に愛国心が盛り込まれたことや愛国心のために歴史の真実を教えることを避ける問題、そして教科書選定問題にあらわれているような出来事があります。今教育をあらゆる不当な支配から守り育てること、真実を教えること、そして教育の自主性を制度的にも機能的にも保障する措置が教育委員会制度であることを再認識すべきと考えますが、このことについても見解をお聞きしたいというふうに思います。

 3つ目の質問になりますが、国民健康保険についてであります。まず1つ目に、来年度から保険財政共同安定化事業の対象が全ての医療費になり、給付財政が都道府県単位になることについてであります。これは、2012年の法改正によるものでありますが、政府が国保を都道府県に運営主体を移すことをにらみながら進めているものであります。このことは、広域化、都道府県単位化への一歩を踏み出したと言えるのではないでしょうか。全国知事会は、国保の構造問題を温存したまま推進しようとしていることに反発しております。また、知事会の社会保障常任委員長として福田富一知事は、1兆円の国庫負担増が必要と主張しています。

 このことは、広域化では国保問題は解決しないということを示していると考えます。来年度からの保険財政安定化事業対象拡大は、市の国保財政にどのような影響が出てくるのでしょうか。そして、国保の広域化、都道府県化に対して市の見解をお聞きしたいというふうに思います。

 2つ目に、都道府県化をにらんでの財政措置ではありますが、保険者支援金についてであります。今回措置されたのは金額で全国で1,664億円であり、この負担割合は国が2分の1、県4分の1、市4分の1を国保財政に繰り入れることになったわけです。本市への配分は幾らぐらいになるでしょうか。これは、低所得者対策の強化のための保険税の軽減対象となる低所得者数に応じた自治体の財政支援を拡充するとしています。2割軽減、5割軽減の対象世帯の収入基準を引き上げるということで、昨年に加えさらに軽減対象世帯が増大することになりますし、この財源を利用して国保税の引き上げをするところが出てきております。ここでお聞きするのは、軽減の枠拡大がどのくらいされていくのでしょうか、お聞きしたいと思います。そして、その影響額はどのぐらいになるのでしょうか。また、この保険者支援金を国が措置したことをどう捉えているのでしょうか、お聞きしたいというふうに思います。

 3つ目に、滞納者への制裁措置についてであります。機械的な保険証取り上げや差し押さえについてであります。本市については、保険証の取り上げ世帯については、きめ細かい対応で減らす努力がこの間なされてきていると思います。しかし、資格証明書で700件以上あります。また、滞納者への差し押さえについてでありますが、私も多くの相談を受け、目に余る実態があると感じています。差し押さえの機械的なやり方に対し、通達や国会答弁で政府自身も改善を求めています。
 保険局長は、平成26年11月6日、「滞納者の実情を把握せずに機械的に滞納処分をしている自治体があることについて、個々の滞納者の実情を把握した上で対応すること。また、生活を窮迫させるおそれがある場合は、処分を停止するということを徹底する」と答えています。これらのことをどのように認識し、実務をするに当たって考えているのでしょうか、お聞きしたいというふうに思います。

 4つ目に、保険税の引き下げについてであります。国保が保険税高騰と財政逼迫の悪循環から抜け出せなくなったのは、国庫負担が削減される一方、被保険者の貧困化が進んだ要因があります。保険税を軽減し、納付しやすい環境をつくることこそが求められていることであり、このことが収納率向上の確かな道であることを厚生労働省も認めています。市としてはこれらのことをどう認識しているのでしょうか。政府の新年度予算案で措置される保険者支援金や基金を活用し、保険税の引き下げは可能と考えます。市として保険税引き下げの努力をするべきと考えますが、どうでしょうか、見解をお聞きしたいというふうに思います。

 以上で1回目の質問とさせていただきます。

◎こども福祉部長(藤井謙一)

 岡村恵子議員の一般質問にお答えします。

 こども医療費の無料化年齢をさらに引き上げて、18歳までにする考えはについてでございますが、本市のこども医療費助成事業につきましては、現在中学3年生までの子供を対象に助成しております。平成25年4月に制度を改正して、3歳未満は県内医療機関等で現物給付、3歳以上につきましては市内医療機関等にて現物給付、それ以外につきましては償還払いで実施しております。昨年5月に市長会、町村会の共同提案として現物給付対象年齢の未就学児までの引き上げを県に要望し、各市町の担当部長、課長を委員とする検討委員会が組織され、県の制度が改正される運びとなりました。これにより本市のこども医療費助成は、来年度から未就学児は県内医療機関等で現物給付、小学生、中学生は市内医療機関等で現物給付となり、現在その準備を進めているところでございます。このように一歩ずつ前進しておりますので、現在のところ対象年齢は中学生までとさせていただき、18歳までの引き上げに関しましては近隣市町の状況を見ながら検討していきたいと考えております。

 次に、学童保育の整備計画と受け入れ態勢について、6年生まで受け入れの年次計画はにつきましては、昨年11月に佐野市こどもクラブ施設整備方針を策定し、来年度から5カ年計画で施設整備を行い、受け入れ態勢の整ったところから順次受け入れ学年を引き上げてまいります。具体的には、平成27年度に整備するこどもクラブは、平成28年4月開所となります。入所児童の多いこどもクラブにおいては、単年度の整備では6年生まで受け入れできない場合もございますが、その場合は入所児童数の状況に応じまして再整備をいたしまして、受け入れ学年を段階的に引き上げてまいります。

 次に、平成27年度の予算でどのような整備がされるのかにつきましては、来年度は7カ所10クラブの整備を予定しております。内訳は、教室を利用する方法で佐野小学校、天明小学校、赤見小学校、多田小学校に1クラブずつ、学校敷地などに施設を建設する方法で植野小、城北小、田沼小に2クラブずつ整備いたします。

 次に、小中学校適正規模・適正配置基本計画との整合性はでございますが、この計画において統合される予定の小学校につきましては、新たな施設建設をすることではなく、余裕教室を活用し計画との整合性を図ってまいります。

 次に、平成27年度に受け入れ年齢の引き上げを行うこどもクラブは、また申し込みについて保護者への周知は十分であったかについてでございますが、公立こどもクラブでは、平成27年度の入所児童について、1年生から3年生までの申し込みを受け、入所児童の決定後、施設面積に余裕のございます吾妻こどもクラブ並びに常盤こどもクラブにおいて追加で6年生までの入所募集を行いました。各学校の来年度の新4年生から新6年生の全員に学校を通してお知らせの文書を配布し、周知をいたしました。今回は追加募集ということで、申請期間を2週間といたしましたが、通常であれば秋にお知らせから申し込み期限までを1カ月程度行っております。募集期間が短かったというご意見があるようでございますが、今後は十分期間を設けて対応してまいりたいと考えております。

 最後に、開所時間延長の考えはでございますが、こどもクラブの開所時間の延長は、現在事業委託しております民間こどもクラブにおいて実施しております。今後とも民間事業者の特色として開所時間の延長をお願いしてまいりたいと考えております。

 以上、答弁とさせていただきます。

◎行政経営部長(五十畑正夫)

 一般質問にお答えいたします。

 最初に、教育行政における首長の権限はオールマイティーとは言えない内容であると考えるかどうかというご質問でございますが、昭和31年に制定されました地方教育行政の組織及び運営に関する法律には、今日まで続いてまいりました教育委員会制度の骨格を形成する重要な法律でありまして、教育の政治的中立性、継続性及び安定性の確保を制度的に保障してまいりました。議員ご指摘のとおり教育委員会の執行機関としての独立性につきましては、今後も変わらないものであると考えております。このたびの法改正のポイントにつきましては、主に教育行政における責任の明確化と市長と教育委員会の連携強化であると考えております。市長と教育委員会が十分な意思疎通を図り、地域の教育課題やあるべき姿を共有して、より一層民意を反映した教育行政の推進を図ることであります。今後も法改正の趣旨にのっとり、より一層教育委員会との連携を密にし、本市の教育行政の推進に努めてまいりたいと考えております。

 次に、新教育長に大きな権限が与えられたが、文科省通知にある指摘事項をどのように具体化するのかにつきましては、このたびの法改正により新教育長へのチェック機能として教育委員会会議の招集を教育委員会委員が請求することができるように規定されました。また、教育長が教育委員会から委任された事務の管理、執行状況を報告する義務及び会議録の作成、公表についての努力義務が規定されました。これらのことにつきましては、現在の佐野市教育委員会会議規則にも規定されておりまして、このたびの法改正により教育委員会の運営が大きく変わることはないものと考えておりますが、法の趣旨にのっとり今後も教育行政の透明化を図ってまいりたいと考えております。

 次に、教育委員の集まりである教育委員会が教育行政の最高意思決定機関であることの確認であると言えるが、認識を聞きたいとのことでございますが、議員ご指摘のとおり新教育長は、教育委員会の代表ではありますが、教育委員会は教育長と委員との合議制による執行機関であり、教育委員会規則により教育委員会から教育長へ事務委任されている事務以外の意思決定は、教育委員会の会議によって決定されるものと考えております。

 次に、大綱の策定に当たっての基本的な考え方につきましては、大綱はその地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策について、その目標や施策の根本となる方針を定めるものでございます。具体的には、学校の耐震化、学校の統廃合、少人数教育の推進、総合的な放課後対策、幼稚園、保育所、認定こども園を通じた幼児教育、保育の充実など、市長の有する権限にかかわる事項についての目標や根本となる方針を定めます。市の総合計画、子ども・子育て関係の計画及び例規などとの整合を図ることが必要であると考えております。   また、策定方法につきましては、教育行政における地域住民の意思をより一層反映させるなどの観点から市長が策定するものとしておりますが、教育行政に混乱を生じることがないように総合教育会議において市長と教育委員会が十分に協議調整を尽くすことが重要であると考えております。

 次に、総合教育会議における協議と調整の内容はどんなものを想定しているのかを含め、総合教育会議のあり方についてのご質問でございますが、協議と調整で想定されるものとして、学校の施設の整備などの教育条件整備に関する施策や教育に関する予算の編成や執行、また条例の策定など市長の権限が対象であると考えております。総合教育会議のあり方でございますが、総合教育会議において協議調整が行われ、双方が合意をした事項については、互いにその結果を尊重しなければならないとされておりますので、市長と教育委員会が十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有して、より一層民意を反映した教育行政の推進を図る場として位置づけるべきであると考えております。

 次に、子どもの権利条約について、教育や教育行政こそ生かすべきであり、教育をあらゆる不当な支配から守り育てることなどが教育委員会制度であることを再認識すべきであると考えるが、どうかにつきましては、子どもの権利条約は世界的な視野から児童の人権の尊重、保護の促進を目指したものでございますので、基本的人権の尊重を基本理念に掲げる憲法や教育基本法などと同じ考え方と捉えております。今回の法改正による教育委員会制度改革がなされても教育基本法の理念は普遍であるものと認識しておりますので、引き続き子供の人権に配慮した教育の充実が図られるものと考えております。

 以上、答弁とさせていただきます。

◎健康医療部長(落合功夫)

 一般質問にお答えいたします。

 来年度からの保険財政共同安定化事業対象拡大は、市の国保財政にどのような影響が出るのかにつきましては、保険財政共同安定化事業は従来からある制度であり、各保険者から拠出金を出し合いまして高額な医療が多数発生してしまった場合、その保険者の財政が苦しくなりますので、それに対する保険的な交付金を出して財政を安定させるという仕組みでございます。平成26年度まではレセプト1件当たり30万円以上の医療費が対象でありましたが、平成27年度からは対象医療費が拡大され、1円以上の医療費を対象とするものでありますが、制度そのものの運用は変わらないので、拠出金、交付金の予算規模は大きくなります。交付金につきましては、実際の医療費にかかる交付金でございますので、市の国保財政の影響については現時点では把握できません。

 次に、国保の広域化、都道府県単位化に対して市の見解を聞きたいにつきましては、平成27年2月12日の厚生労働省の国保基盤強化協議会で、平成30年度から都道府県が当該都道府県内の市町村とともに国保の運営を担うとし、財政運営の責任主体となる案が示されました。県が財政運営の主体となることで、小規模な保険者がなくなり、安定した国保運営が行われると考えております。しかし、県が財政運営の主体となりましても、保険税の賦課徴収、保健事業など引き続き市町村が担う業務が多数あり、市町村は地域住民と身近な関係の中、さらにきめ細かく事業に取り組む必要があると考えております。

 次に、2割軽減、5割軽減の対象世帯の収入基準の引き上げに伴い、どのくらいの世帯がふえるのか、その影響額はにつきましては、まず2割軽減、5割軽減に係る軽減判定所得の見直しでございますが、平成27年度の地方税制改正案に盛り込まれているもので、現在国会において審議中でございます。改正案のとおり決定されますと、国民健康保険税条例を一部改正し、適用することになりますが、試算の結果では2割軽減につきましては、世帯数は10世帯、軽減額は約35万円増加し、5割軽減につきましては、147世帯、約784万円増加するものでございます。

 次に、その意味をどう捉えるかにつきましては、低所得者に対して保険料の軽減を行うことで保険税の納付促進につながるものと考えております。

 次に、滞納者の制裁措置としての機械的な保険証の取り上げについて、通達や国会答弁で改善を求めているが、滞納者の実態把握の徹底をどのように認識するのかにつきましては、滞納者の現況に即した適切な納付指導を実施するため、各滞納世帯の担当者が年間を通して生活状況の把握に努め、さらに国保啓発相談員が臨戸訪問による面談を行い、その実態を確認しております。これにより被保険者証の交付を念頭に置きながら機械的な保険証の取り上げ、つまりむやみな資格証明書の交付とならぬよう留意しているところでございます。

 次に、保険税を軽減し、納付しやすい環境をつくることが収納率向上の確かな道であることを厚労省も認めている。市としてはどのような認識かにつきましては、国保税の負担額が軽減されることによりまして、納付に対する被保険者の理解と協力が得られ、収納率の向上につながるものと本市も考えるところでございます。

 次に、市として保険税引き下げの努力をするべきと考えるが、どうかにつきましては、被保険者数が減少傾向にあるとともに、医療技術の高度化、被保険者に占める高齢者の割合の増加から1人当たりの医療費が増加しており、引き下げにつきましては難しい状況であると考えております。

 以上、答弁とさせていただきます。

◎総合政策部長(飯塚久)

 一般質問にお答えいたします。

 差し押さえについての保険局長の答弁についてどのように認識するかにつきましては、昨年11月6日の参議院厚生労働委員会での厚生労働省保険局長の答弁につきましては、議員ご指摘のとおり承知しております。国民健康保険税につきましては、税負担の公平性が損なわれないよう納める資力があるにもかかわらず納付しない方に対しましては、差し押さえにより徴収しなければならない必要がありますが、生活困難や営業不振の方、真に生活に困窮されている方々につきましては、納税相談を通して個々の滞納者の生活実態の把握に努めながら、分割での納付など適切な納付指導を行っております。

 さらに、生活を著しく窮迫されるおそれのある場合は、滞納処分の執行を停止しております。

 以上、答弁とさせていただきます。

◆19番(岡村恵子)

 ご答弁ありがとうございました。

 順序が逆になりますが、今総合政策部長の差し押さえの件の答弁なのですけれども、これは厚生労働省の国会のやりとりは承知しているということでありました。しかし、承知しているということでも、やはりそれは徴収はしなければならないという、そういうことは法律、国税法のもとにやっているということ、今までも何度も答弁をいただいておりますけれども、しかし生活の状況を見ておりますということをおっしゃいました。見ていきますということだったらわかりますが、現状ではやっぱりそれだけの配慮がされているというふうには認識しにくいのです。そういう点で、この間の国会でのやりとり、やはり機械的ではだめですよと。年金だとかそういうものも差し押さえされている方も、私は何人も知っております。その辺のやりとりのことが、もう一度やはり考慮しておりますというふうにおっしゃいましたので、改めた認識のこの国会答弁、今もなぜこのようなやりとりをしなければならないのかという国会の中でも、その辺もぜひ再び答弁をしていただきたいと思います。

 ですから、生活苦などでの滞納ということも多々あるということで、その辺やはり佐野市の差し押さえの状況というのが県内でも特筆している件数ということになっておりますので、その辺をお聞きしたいというふうに思います。

 それから、最初に戻りますけれども、こども医療費の18歳までの年齢引き上げ。先ほどのご答弁は、とてもわかりづらい答弁でした。佐野市は現在中学3年生までが市内の医療機関窓口で無料になっております。県のほうでも、やはり先ほど就学前まで現物給付だとおっしゃっていましたけれども、子供の医療費無料化については、引き上げてきているというふうに思います。ですから、佐野市が全額、県と市が折半ですから、やはり県は年齢引き上げをやったということは、県が半分、市が全額出していたのを半分で済むわけですね。ですから、今までの議会のやりとりでも、やはり4,500万円ぐらいの県が引き上げたことで経費が浮くと。高校3年生までやれば4,000万円ぐらいでできるという答弁をいただいております。ですから、そういう観点からぜひ前向きにやはり検討を今後していく。検討していくに値するというふうに私は思うのですけれども、その辺検討するのに値するものかどうかということでお聞きしたいですし、ぜひ実現に向けて検討されていくのかということをさらにお聞きしたいというふうに思います。

 それから、学童保育の点ですけれども、これは保護者の方々からさまざまな意見が寄せられております。これは今回法律が施行ということで、基盤整備、5年間のうちにやっていかなければならない事態になりましたが、実際子育てをしている保護者というのは、大変切実なのですね。意見をここにまとめたものを持ってきているのですけれども、子供が2人いて、上の子が今度小学4年生になると。そうすると、下の子が入れても上の子が入れないので、仕事をやめなくてはならないかもしれないと。それから、開所時間にしても、先ほど民間が延長してやっているということでしたけれども、例えば学校区、民間に入ることができないところもあるわけです。それはそのようにおっしゃっていました。ですから、市で行う学童、こどもクラブについても、やはり時間延長していただきたいということが寄せられております。

 そういうさまざまな意見を聞いたときに、それと基盤整備がどのように進んでいくかということで、先ほど平成27年度については具体的に箇所はお答えいただきました。どのくらいの人数が受け入れられて、また小学3年生、4年生以上の子供たちが今後どのような形でその基盤整備が進んでいくかということも保護者はやはり見通しも欲しいし、それが切実な声だというふうに私は思います。そういう点では、市のやりとり、こういう意見を聞いてみますと、大変その市民の立場に立っていない行政を行っていると。市民は切実なのだけれども、なかなか今まで腰を上げてもらえなかったと。法律がこうなったために、市が急いで余裕教室とか学校敷地内につくるということになってきておりますが、ですからやはり子育てをしている人の立場に立った形でぜひ計画的な整備というのもお答えいただきたいというふうに思っています。

 それから、教育委員会のその制度改正についてですけれども、先ほど来ご答弁をいただきました。しかし、例えば野田市の市長が、東京新聞に載っていましたけれども、野田市の市長、根本市長は、今回の地方教育行政法の改正というのは、早く言えば市長が主導する教育行政という、そういうことになっていくということを危惧して、みずから大綱づくり、その市教育委員会の基本方針を市教育委員会を主体としてつくると。そして、市長の関与を認める、強めるこの新制度を、市長みずからが牽制する動きとしてやっていると。ですから、この狙いというのは、教育行政に市長の考え、早く言えば政治の関与というのが可能になるような動きの内容になっております。ですから、野田市の市長は、この改正についてもう既にこのような動きを牽制する中で、例えば新しく新設される総合教育会議も市長が招集するものでありますけれども、これを例えば教育委員会に置くと、市長部局に置くのではなくて、教育委員会に置く考えとかも示していると。これはなぜかというと、先ほどの答弁では、何か法律が改正になっても何ら問題がないというふうなご答弁でしたけれども、その認識はやはり違うのだと思います。しっかりとこのように市長が牽制していると、この法律改正に。やはり教育の中立性を何としても今後も図らなければならないということで、こういう態度を示しているということは、言い方をかえればやはり市長の考えによって教育行政が変わっていく可能性が出てきているということですから、ぜひこの辺のご答弁を、市長と教育長にぜひ考え方を改めてご答弁をしていただければというふうに思っています。

 それから、国民健康保険のほうですけれども、先ほど来保険者支援金、これは地方消費税の増税に伴う社会保障の充実になるということで、国が保険者支援金ということで軽減策を充実させると。そしてまた、この金額が1,664億円ということですから、佐野市に幾ら来る可能性があるのかもお答えしていただきたいし、これを利用して保険税を引き下げようとするところが出てきているということで、佐野市の先ほどのご答弁ではそういう前向きな、基金も十数億円あると思います。11億円から13億円ぐらいあると思うのです、ため込んだお金が。そのようなお金を活用すれば、引き下げることというのは可能だというふうに思います。この間足利市なども引き下げを行ってきています。このような形で大変答弁が前向きではない答弁があると。ですから、この質問の内容の云々だけではなくて、やはり市の行政が市民の立場に立った行政に、そのように私はこの質問を準備する中で感じています。市民の市に対する要望と市職員のやはりその市民を本当に頑張って守っていくのだと、支援していくのだと、そういうことから見て、やはり実務的に事務的に追われている、そのように私はすごく感じますので、その辺も含めてご答弁をいただければと思います。改善を求めたいと思います。

 以上で2回目の質問といたします。

◎総合政策部長(飯塚久) 2回目の質問にお答えいたします。

 差し押さえについて機械的に行っているのではないかのご質問でございますが、滞納者の実態把握につきましては、主に本人からの納税相談、財産調査、臨戸訪問により行っております。差し押さえの執行につきましても、実態を精査した上で行うよう努めております。財産調査などは金融機関等に対しまして定期的に行っておりますので、機械的にと感じられることもあるかと思います。あくまでも個々の滞納者の実態に合わせて判断し、適切な納付指導を行っており、決して機械的に滞納処分を行っているものではございませんので、ご理解をいただきたいと思います。

 以上、答弁とさせていただきます。

◎こども福祉部長(藤井謙一) 2回目の質問にお答えいたします。

 県が補助の年齢を引き上げたので、その分市の負担が大きく減ったので、高校生までの給付をというお話でございましたが、県が引き上げたのは現物給付の年齢を引き上げたものでありまして、市の負担が大きく減ったというものではないものと考えております。その引き上げにつきましては、先ほどもお答えしましたが、近隣市の状況等を見ながら検討をしてまいりたいと思っております。

 2番目に、整備するこどもクラブの入所児童数はということでございますが、こどもクラブは今まで70人が1クラス定員でございましたが、今後は1クラブ40人の定員となりますので、27年度に新しく整備するクラブでは40人定員掛ける10で400人の定員がふえる見込みでございます。

 また、延長についてどうでしょうかということですが、まずは現在未設置のこどもクラブもございますことから、それらの6年生までの施設整備を進めてまいりたいと考えております。延長につきましては、民間こどもクラブでの受け入れについて協議をしてまいりたいと考えております。

 最後に、今後どのように進捗していくのか、市民の立場で進めていただきたいということでございますが、今後整備に当たりましては、市民の立場で考えてまいりたいと考えております。

 以上、答弁とさせていただきます。

◎行政経営部長(五十畑正夫)

 2回目の質問にお答えいたします。

 今回の教育委員会制度の改革によりまして、首長の意見がかなり強くなるのではないかというようなご心配だと思いますが、この改革の背景については、何年か前の大津市のいじめ事件の問題があるのかなと思います。それによって迅速な対応ができなかったというようなこともありまして、今回制度改革になったというのも一つの課題ではないかと思います。その中で、今回その改革の中で責任の明確化、それから教育長に対して首長の任免ということ、そういうことになりましたけれども、最終的には総合教育行政の会議によりまして連携強化というのが主な内容だと思います。
その総合教育会議につきましては、文科省の通知によりますと、総合教育行政に係る案件については、教育に関する大綱の策定のほかに、教育を行うための諸条件の整備、また重点的に講ずべき施策、それから児童生徒の生命、身体の保護等緊急の場合に講ずるべき措置などとなっております。具体的には、学校等の施設の整備等の教育条件整備に関する施策など、予算の編成、繰り返しになりますけれども、予算の編成、執行権限、条例の提案権を有する市長と教育委員会が調整することが必要な事項、それからいじめ問題により児童生徒等の自殺が発生した場合ですとか、通学路で交通事故死が発生した後の再発防止などを行う必要がある場合などということで、文科省のほうの通知も例示がございます。また、大綱の中では教育の目標や施策についての根本的な方針であり、大綱についてはそういう方針をつくるところであり、地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策についてその目標や施策の根本となる方針を定めるものでありまして、詳細な施策についてを策定するものではないとされております。このようなことから、首長の強化されるということはご心配ないのではないかなというふうに考えております。

 以上、答弁とさせていただきます。

◎健康医療部長(落合功夫)

 2回目の質問にお答えいたします。

 初めに、保険者支援金について佐野市へどの程度交付されるのか、それにより引き下げが可能ではないかにつきましては、佐野市への交付金額分は今のところ未定であり、その状況に改めて考えたいと思っております。

 次に、財政調整基金が11億円ほどあるのになぜ引き下げができないのかにつきましては、財政調整基金の残高が多くなった理由といたしまして、東日本大震災関係の財政支援の交付金が5億2,000万円ほどありますので、現時点では値下げについてはできない状況でございます。

 以上、答弁とさせていただきます。

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