議会報告・2016年(H28)第1回定例会
3月 22日(火)討論(全文)

討論
◆19番(岡村恵子)

 それでは、討論を行わせていただきます。

 議案第4号 行政不服審査法の施行に伴う関係条例の整備についてから議案第44号 平成27年度佐野市病院事業会計補正予算(第3号)まで、そして平成28年度予算関係でありますが、議案第45号 平成28年度佐野市一般会計予算から議案第57号 平成28年度佐野市病院事業会計予算までにつきまして、一括して討論を行います。

 この中で予算関係になりますが、議案第45号 平成28年度佐野市一般会計予算、議案第46号 平成28年度佐野市国民健康保険事業特別会計(事業勘定)予算、議案第51号 平成28年度佐野市介護保険事業特別会計(保険事業勘定)予算、議案第53号 平成28年度佐野市後期高齢者医療特別会計予算、以上4議案につきましては反対を申し上げます。

 あとの議案第4号から議案第44号まで、また平成28年度予算関係、議案第47号、議案第48号、議案第49号、議案第50号、議案第52号、議案第54号、議案第55号、議案第56号、議案第57号、以上50議案につきましては賛成を申し上げます。

 それでは、反対の4議案についてのそれぞれの理由を申し上げます。

 まず、議案第45号 平成28年度佐野市一般会計予算についてであります。安倍政権の経済政策のもと、一部景気は回復しつつあるとしておりますが、家計調査から見る住民の生活状況は決して前に進んでいるとは言えない状況であります。予算大綱質疑でも申し上げましたが、さまざまな指標の中にその状況があらわれております。安倍政権は、首相就任直後の平成26年度の通常国会での施政方針演説で、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指すと宣言し、翌年には新成長戦略で日本の稼ぐを力を高めるとして、トリクルダウン政策を行ってきました。しかし、この間、起きたのは、大企業のもうけは急増しましたが、賃上げは一部の企業にとどまった上、そのわずかな滴りさえ消費税8%への増税で吹き飛んでしまったことです。

 安倍首相は、消費税8%への増税時にアベノミクス効果があらわれているとして増税政策を推し進め、経済対策を進めれば景気は低迷しないと述べてきました。しかし、実態は違いました。今まで大企業のもうけが上がらない中での経済成長マイナスというのはありましたが、大企業が市場最高の利潤を上げる中での経済成長マイナスというのは初めてのことであります。金融緩和の効果も剥げ落ち、ついに日銀はマイナス金利を導入しました。また、物価上昇の内容は、経済対策で安倍政権が期待したものではなく、消費税増税によるものであり、3%の消費税増税に加え、2%程度の物価上昇が起きました。同時に、円安による輸入品価格の上昇が加わりました。一方、勤労者の賃金は3年間で5%、19万円もマイナスとなっています。その結果、国民の消費は、安倍政権になって実質GDPの消費は4兆円も減少しています。ですから、消費が上向かなければ経済の好循環も生まれてきません。このような状況にある中、国の来年度予算案については、軍事費は伸び、消費税増税を前提とした予算、加えて社会保障では削減の予算になっています。国民の声に背を向けていると言わなければなりません。このような中での佐野市の来年度予算編成であります。

 国が決めた平成28年度の地方財政の内容は、一定の一般財源を確保された状況であり、第2子、第3子の保育料軽減や児童扶養手当の第2子、第3の拡充などが入っており、国の制度としても前進が図られる内容となっております。一方、高齢者には年金生活等支援臨時福祉給付金給付事業として、低所得者に対し3万円が支給されます。しかし、子育て世帯への子育て世帯臨時特例給付金は平成28年度は廃止されます。一見よく見える今回のこの地方財政計画でありますが、地方行財政の分野では、地方交付税のトップランナー方式の導入、自治体連携の促進、行政サービス、公共施設等の集約化や民間委託等の推進など、さまざまな形で強めるものとなっています。今後、地方財政計画を通じた地方財源の引き下げを促していくことは間違いありません。その内容は国の骨太方針にも示されています。このことは、地方としても見逃せません。国に強く地方の立場で意見を述べるべきであります。

 このような中で市の予算編成においては、自治体の本来の責務であります住民の福祉と暮らしの増進の役割を果たすべく国の悪政から住民を守る防波堤の役割を全力で果たしていくことが求められています。しかし、市の予算について、行財政改革の方針のもとに歳出の効率化、職員人件費の削減を含めた指定管理者制度、民間委託の方向も打ち出されているのに加え、受益者負担の適正化と称した公共料金の値上げの方向も打ち出されてきています。質疑の中で、学校給食について、調理業務、配送業務とも民間委託が検討されているということでした。ましてや、今後、国が地方交付税の仕組みを変えてしまうトップランナー方式の導入で、このままでは今後さらに指定管理者制度や民間委託に走ることは予想されます。

 国の政策では、平成28年度はこのトップランナー方式で学校関係、本庁舎関係、一般ごみ収集関係に関する民間委託や情報システムのクラウド化等を前提とする16業種について地方交付税の算定根拠となる基準財政需要額の単位費用の改定がなされようとしています。さらに、平成29年度につきましては、図書館、博物館、児童館、公民館などの教育、福祉関係施設の指定管理者制度の導入や戸籍業務、住民基本台帳業務、税証明業務、福祉業務等の窓口アウトソーシングが検討されています。これらは市のサービスの根幹にかかわるものでありますし、このような中、全国的には偽装請負も発生しております。市が今後、地方交付税額が減額されるということで国の政策に呼応するようなことになれば、市の自治体としての性格が根底から変貌する可能性も否定できません。本市において、今住民が使っていた葛生地区公民館を現在の場所から、あくとプラザに移転する計画についても反対の声が上がっています。無理に進めれば地域の方々からの信頼を損ねることにもなりかねませんし、地域を疲弊させることにつながってきます。

 また、こどもの街宣言を行っている佐野市がこどもの国を指定管理者制度にする方向が議会の中でもやりとりが、そのような中身が出されました。市民参加の取り組みがなされている中、無理に進めれば市民の自主性を損なう結果になりかねません。さらには、例えば子育て世帯の保育園の需要に高まりなど拡充が求められている中、今後、公共施設の管理運営方針で住民の声を無視したやり方で進めれば、住民と市当局との信頼関係を失いかねませんし、若い世代の方々が定住することにつながらないと考えます。今後、住民の立場にしっかりと立って、さまざまな機能や条件を加味した判断が求められていると思います。

 さらには、市の行財政改革方針では、受益者負担の適正化と称した見直しがうたわれています。議会のやりとりの中でも、保育園や学童保育の保育料の見直しもしていくと述べております。子育て世帯の負担をふやすことになれば、子育てしやすいまちということから見て逆行することになるのではないでしょうか。子供の貧困対策も早急な課題です。就学援助制度の充実や奨学金制度の充実も求められています。

 一方、佐野市は、平成28年度はインランドポート整備事業が本格的に動き出す年にするとともに、出流原PA周辺総合物流開発整備のための基本計画を策定するとしています。第1段階とした佐野田沼産業団地内につくるインランドポート事業の整備に約8億円かける予定となっており、指定管理者制度として基盤整備に加えて、事業者への指定管理料等を管理費として市の財源を使うことになってきて、今後どれだけの投資が行われるのか、見えてきません。平成28年度はインランドポート整備事業として約9,034万7,000円が計上されています。また、インランドポート運営準備事業費として349万8,000円が計上されています。さらには、第2段階として、インランドポートの拡張にも対応できる物流を中心としながらも製造業の進出も視野に入れた産業団地造成のための出流原PA周辺総合物流開発整備調査事業費として関係機関と協議を開始し、基本計画を策定するとして920万円が計上されています。市当局は今後雇用の確保につながるなどと述べておりますが、現実はどうでしょうか。民間事業者が赤字になれば、市は補填をするのでしょうか。そうであれば、大変な問題だというふうに思います。市当局は、常々、今後地方交付税等の一本算定に向かうために財政状況が厳しくなるなどと言っている中で、そのツケをさまざま市民に向けることになれば、たまったものではありません。

 また、ことし1月に始まりましたマイナンバー制度でありますが、今後、税と社会保障の個人情報を国が一元的に管理し、徴税の強化、給付の抑制の狙いととともに国民監視とプライバシー漏えいなどのおそれがあり、このことも問題です。

 以上の理由で反対いたします。

 次に、議案第46号 平成28年度佐野市国民健康保険事業特別会計(事業勘定)予算についてであります。平成30年からの広域化に向け、この間、制度改正が行われてきています。今まで保険税を統一化してスケールメリットを高めるとしてきた広域化でありますが、途中から医療供給体制の都道府県単位化に変わり、医療ビジョン策定と権限強化により医療費の適正化、言い方を変えれば医療費削減を図るためと大きくさま変わりしてきました。広域にすることで安心できる国民健康保険制度になるどころか、国民に安心して受けられる医療制度から遠ざけるものに向かう結果となります。高過ぎて払い切れない保険税という点では相変わらずの状況であり、根本的な解決は国庫負担の増額こそ求められてきております。政府は公費拡充による財政基盤強化策として、平成27年度から毎年消費税増税分を財源に低所得者対策として保険者支援制度を拡充してきております。本市の保険税について、平成28年度からは一定の軽減が図られ、全ての世帯にかかわる平等割の1,800円の引き下げ、資産割は2%引き下げがなされました。しかし、課税限度額につきましては、77万円から85万円に引き上げられてきております。この間、措置されております保険者支援金、基金などを使い、保険税を引き下げる努力をすること。それで足りないのなら、一般会計からの繰り入れで行うことです。市民はとても切実です。今までも一般会計からの繰り入れを行ったことがありました。工夫をして保険税を引き下げるべきです。

 一方、高い保険料の差し押さえ、滞納処分については強化されてきています。本市の滞納処分は、近隣市町村の中でも大変厳しいものになっています。これは一般会計の市税にも言えることでありますが、法律上、問題ないやり方でやっていると市当局は言いますが、本当でしょうか。差し押さえ禁止債権の趣旨に反するようなやり方は大問題です。払い切れない保険税、そして差し押さえで市民を窮地に追い込む、このやり方は変えるべきです。また、資格者証発行については414件と、この間、減ってはきておりますが、さらなる減らす努力を求めますし、まだ発行されている状況であり、これらの点でも安心した医療保険制度とは言えません。

 以上の理由から反対いたします。

 次に、議案第51号 平成28年度佐野市介護保険事業特別会計(保険事業勘定)予算についてであります。平成28年度については、第6期の2年目であります。介護保険制度は制度化されて15年が立ちましたが、要介護者をめぐる状況は決して安心できるものではなく、ますます不安なものになってきている状況であります。第6期では保険料は基準月額5,008円から5,763円に15%の引き上げが行われました。一方で、受けるサービスは制度を変える形でどんどんと制限される方向に来ている状況で、公的介護ではなくなると危惧されています。平成27年8月からは、一部の方の利用料が1割負担から2割負担に、施設入所者の一部の方の補足給付の打ち切りも行われています。施設入所者も、基本、要介護3以上の方に絞られてきています。また、平成27年度から介護報酬が2.27%の引き下げの影響で、介護事業者の経営に大きな影響与えています。また、今後、医療・介護総合確保推進法により要支援者の訪問介護、通所介護を保険給付から外し、市町村が主体である地域支援事業、新総合事業に移行させるとしております。本市では平成29年度から導入させるための準備が平成28年度に行われます。今後についても、今さらなる改悪が計画されています。これでは安心できる介護保険制度とは言えません。

 以上の理由から反対いたします。

 次に、議案第53号 平成28年度佐野市後期高齢者医療特別会計予算についてであります。この医療制度については、制度開始以来、高齢者を差別する制度として廃止を求めてきました。75歳になれば別枠の医療制度に強制加入させられるものです。高齢者の人口増に伴い、保険料が引き上げられる制度であります。この後期高齢者医療制度では、今まで低所得者保険料軽減措置がされておりましたが、政令改正により、これまで保険料を最大9割削減してきた特例措置が平成29年度から縮小、廃止するとされています。そうなれば、ますます大変な負担が高齢者に襲いかかることになります。一方で、本市でも滞納者に対する短期保険証が現在32人に発行されています。長年社会に貢献してきた高齢者の医療制度でありますが、これも決して安心できるものになっておりません。このような理由で反対いたします。

 以上、4議案につきましての反対理由を申し上げました。

 あとの議案第4号から第44号までについて、議案第47号から第50号までについて、さらに議案第52号、第54号から第57号までについては賛成を申し上げ、私の討論とさせていただきます。

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